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逃げ場のないトンネルで火災発生!ドライバーが“絶対に取るべき行動”
トンネル内の火災はあまり遭遇しないものの、ひとたび起これば命に関わります。
特に、トンネルは正規の出口からは逃げにくく、煙や熱がこもりやすい密閉空間のため、初動を誤ると被害が拡大するおそれがあります。
では、ドライバーはどのように行動すれば自分と周囲の安全を確保できるのでしょうか。
トンネル内の火災を知ったときの対処法

高速道路のトンネル内の火災は、炎そのものの危険だけでなく、煙による視界不良や一酸化炭素中毒など、命に直結するリスクをともないます。
とくにトンネルは外部への脱出経路が限られているため、冷静かつ正確な判断が欠かせません。
では、トンネル内火災が発生したら、周囲の車はどのように対処する必要があるのでしょうか。
まず、トンネルの外で標識などから「トンネル内で火災が発生している」と知った場合は、絶対にトンネル内へ進入してはいけません。
もし、トンネル手前で停車できるときは、ハザードランプを点灯させて後続車に注意を促し、トンネル手前の道路左端に寄せて停車します。
すでに渋滞が発生している場合は、緊急車両が通行できるよう、車両をできるだけ両端に寄せて止め、サイドブレーキをかけてエンジンを切るのが原則です。
また、走行中にトンネル内の警報板で「火災発生」「止まれ」などの表示を見た場合は、表示の指示に従う必要があります。
その際は慌てず路肩に沿って停車し、サイドブレーキをかけてエンジンを停止させましょう。
その後、消防隊員などが車両を移動できるよう、キーを車内に残したままドアを閉め、速やかに非常口に向かって避難します。
そして、自分自身が火災を発見した場合は、#9910(道路緊急ダイヤル)からの通報や、トンネル内に設置されている非常電話、押しボタン式通報装置を利用して、速やかに状況を通報します。
さらに、通報の際はトンネル名やキロポストなどを活用することで、火災発生現場を的確に伝えられ、迅速な消火活動につながります。
そのほか、軽微な火災で、自分の安全を確保できるなら、高速道路に備え付けの消火設備などで初期消火をすることも事態の悪化を防ぐためのポイントです。
なお、いうまでもなく、通報や消火は自分の安全を確保しておこなうことが大切です。
身の危険を感じる場合はすぐに現場から離れ、非常口に逃げることが求められます。
トンネル内の「非常口」の内側は気圧に守られた安全地帯

上述の通り、トンネル内で火災に出くわした場合、安全を確保するためには非常口に避難することが求められます。
では、非常口とは具体的にどのような設備なのでしょうか。
非常口はトンネルから地上まで脱出するための通路の入り口で、おおむね300メートル間隔で設置されており、壁面の案内看板には「非常口までの距離」が明記されています。
避難する際は、この表示を確認しながら、もっとも近い非常口へ向かうことが基本です。
そして、非常口の内側の地上まで続く空間は、トンネル内部よりも気圧が高く保たれており、煙の侵入を防ぐ構造になっているため、内部は比較的安全な空間となります。
そのため、非常口に入ったあとは焦らず、自分の体力に合わせたペースで地上まで避難を続けることができます。
なお、実は非常口にはユニークな構造を持つものがいくつか存在します。
たとえば、地上へ直接上がる「非常階段」を備えたタイプのほか、道路下部の空間を利用して安全地帯へ導く「すべり台式の避難路」を採用しているケースもあります。
すべり台式は、トンネル下部の空間を活用して煙や熱から離れた場所へ避難できるよう設計されたもので、1分間に数十人が避難できる能力を持つとされています。
道路下部の空間から地上までは階段を使って避難する必要があるものの、階段を上るより負担なく安全な空間に避難できるため、非常口付近に人が滞留するのを防ぐことができます。
そして、これらの設備は、トンネル構造や利用環境に合わせて最適化されており、万が一の際にも確実に避難できるよう考えられています。
まとめ
このように、トンネル内で火災に遭遇した際は、慌てず警報板の指示に従い、車を安全な位置に停めてすぐに避難することが大切です。
また、トンネル内に多数設けられた非常口は、その内側が気圧で煙が入らない安全地帯となっており、階段やすべり台式の避難路を使って安全な空間や地上へ逃げられるよう設計されています。
非常時に備え、非常口の存在を日頃から意識しておくこと、そして万が一の時には冷静に行動することが命を守ることにつながります。
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